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08_4 セクハラ? 姫乃side

last update Huling Na-update: 2025-07-29 04:49:58

夜、樹くんの家で夕飯を一緒に作りながら、今日の出来事を思い出していた。思い出しただけでもゾワッとする。

「樹くん。私は早く恋人を作らなくてはいけません」

「年齢的に?」

「ぐっ。それもあるけど」

樹くんは痛いところを突いてくる。

それはそうなんだけど、今回はそうじゃない。

「焦ると失敗するっておみくじに書いてありましたよ」

確かにおみくじにはそう書いてあったし気にもしてる。でも焦るものは焦るのだ。だって今日あんなことがあったし……。

「恋人がいないと早田課長の慰めに合うんだもん」

「は? なんだそれ」

「そうやって言われた。だから早く彼氏がほしい」

テーブルに箸とコップを並べながら軽く言うと、樹くんの眉間にシワが寄った。

「またセクハラ受けたの?」

怒ったような口調に私は少しビクビクしながらも、コクンと頷いた。

樹くんは大きなため息をつく。

「課長と二人きりにならないこと」

「でも会議の準備とか断れないし」

「訴えていいんだよ」

「だって上司が課長だもの。誰に相談したらいいか」

樹くんはまた大きなため息をつくと、ソファーにどっかりと座った。

「姫乃さん。ちょっと」

手招きされるので、不思議に思いつつもほいほい寄っていく。

「なあに?」

「あのさ、」

「きゃっ」

言うや否や手を取られ、そのまま強い力で引き寄せられてソファーに押し倒された。両腕を押さえられ身動きできない。樹くんは私の腕を押さえたまま、上から見下ろしてくる。

「こうされたらどうするの? どうやって逃げるの?」

「え、えっと……?」

確かに、腕をほどこうにも男の人の力には全然敵わなくて、私にはどうすることもできない。

「姫乃さん無防備にも程がある」

冷たく言われ、ずんと心が落ち込む。自分ではそんなつもりじゃないのに、そんな風に思われるなんて。

「ねえ、わかってる?」

「え?」

両手は押さえられたまま、樹くんの顔が近づいたと思ったら、唇に触れる柔らかな感触。それがキスだと理解した瞬間、さらに激しく唇を奪われた。

「んんっ!」

角度を変えて何度も何度もするので、私の息は絶え絶えになってしまう。そんな私を楽しむように、樹くんは不敵に笑った。

「キスくらい簡単にできるからね。肝に銘じて」
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